内装工事で良く聞く言葉に「LGS工事」「軽鉄工事」「軽天工事」と言ったものがあります。
もしくは「LGS+PB工事」や「内装下地工事」などと言われる場合もあるかもしれません。
こんな疑問を持ったことありませんか?
- LGS工事ってなに?どんなことするの?
- LGS工事、軽鉄工事、軽天工事って何が違うの?
- なんでLGSなの?木じゃだめなの?
私もこの業界に入ったばかりの時は何のことか良く分かりませんでした。
私は内装業に携わって15年になります。
今は単身赴任で事業部長を任されています。
今回はLGS工事とは何なのかについて分かりやすく解説していきます。
この記事を読むと下記のことが分かります。
このブログでは初心者のために、いまさら聞きづらいようなことを
誰よりも分かりやすく解説しています。
できるだけ専門用語や難しい言葉は、別の言葉に言い換えて解説しています。
なので誰でも理解できるはずです。
最初に結論を言いますと、
- LGS工事とは壁や天井を作るのに必要な下地を作る工事
- 壁と天井で工事名称が違う
- LGSは燃えなくて軽いから良い
という事になります。
それではそれぞれ解説していきましょう。
【LGS工事とは】壁や天井を作るのに必要な下地を作る工事のこと
建物には当たり前ですが壁と天井と床がありますね。
その壁と天井を作るのにLGS工事は必要不可欠な工事となります。
ふだん私たちが良く目にする内装壁はプラスターボード(略称:PB)と呼ばれる
石膏を固めて作ったボードが貼られて作られています。
プラスターボードを貼るのに必要なのがLGS工事です。
✔LGS工事はプラスターボードを貼るための下地を組む(作る)工事です。
ふだん私たちは出来上がった壁や天井を見ているので、LGSを見ることはありません。
では、どこでLGSが使われているか?
この画像をご覧下さい。
壁ができあがっていく順番に画像を並べました。
①LGS下地の状態
このシルバーの棒がLGSです。
この上にPBをビス止めしていきます。
②LGSにPBを貼っている途中
LGSにPBをビス止めします。
上部にLGSが少し見えてます。
③PBが貼り終わった状態
PBを貼り終えました。
LGSが全て隠れました。
この黄色いボードがPBと呼ばれるもので、PBの上にクロスや塗装などの
いわゆる内装仕上げ材で壁を仕上げれば、私たちが見ている壁が完成します。
※こんな疑問を持った方のために、もう少し詳しく解説。
- LGSってなに?
- 下地ってなに?
- プラスターボードってなに?
順を追って解説していきます。
【LGSとは】軽量鉄骨のことで建築材料の名称
LGSの正式名称は「ライト・ゲージ・スチール」(Ligth・Gauge・Steel)と言います。
この頭文字をとってエル・ジー・エスと呼ばれています。
直訳すると「軽量鉄骨」ですね。
正直この正式名称は覚えなくても大丈夫です。
ここで押さえておきたいポイントとしては
内装業に携わっていてLGSを知らない人はいないくらいメジャーな建築材料です。
詳しくは別の記事で書きます。
【下地とは】基礎、土台、相手となるもの
広辞苑によると
『物事をなすための、また、ある状態になるための基礎となるもの』
広辞苑より
LGS工事に置き換えて言うと
『壁を作るのに必要なプラスターボードを貼るための基礎、土台となるもの』
という事になります。
内装では基礎≒相手という意味合いでも使われます。
どちらかと言うと『相手』と言う意味合いの方が強いですね。
下地はいろいろな工事でも使われ
【何をするための下地(相手)か】によって下地が指し示すものが変わります。
例えば
- PBを貼る下地は何?(PBを貼る相手は何?)・・LGS下地
- クロスを貼る下地は何?(クロスを貼る相手は何?)・・PB下地
- 塗料を塗る下地は何?(塗装をする相手は何?)・・木(もく)下地
と言ったように、ある工事を行うにあたっての相手のことを下地とも言います。
【プラスターボードとは】内装仕上げ材を施工するための下地材(略称PB)
✔プラスターボードとは石膏を固めて板状に成形した建築材料です。
正確には石膏や石灰を中心としたプラスター材を水練りして・・うんぬんかんぬん・・
と言われていますが、全く覚える必要ありません。
また似たような言葉で石膏ボードとも呼ばれています。
何が違うのかと言うと、同じものです。
厳密にいえば違いはあるのかもしれませんが、これも全く覚える必要ありません。
✔プラスターボード(PB)=石膏ボードという認識で大丈夫です。
詳しく知りたい方は別の記事で書いておきますので、そちらを参考にしてください!
プラスターボードはLGS工事には付き物です。
セットであるものとして覚えておいてください。
プラスターボードをLGSにビス止めして、素地の壁ができあがります。
※素地とは・・クロスや塗装などで仕上げる前の生地の状態のこと
つまりLGS工事で言うところのプラスターボード役割は
という事になります。
【造作用下地】LGSの役割はPB用下地だけではない
例えば、なにか壁に取り付けたいとき
プラスターボードにビスを打ってもすぐに抜けてしまいます。
プラスターボードは石膏を固めたものなので点への衝撃に弱く
ビスを打っても石膏がすぐに崩れてビスが効かないんですね。
画鋲が簡単に刺させて、抜けるのもそのためです。
そこで必要なのが『ビスを効かせられる下地』・・それがLGSです。
LGSを狙ってビスを打てば何でも壁に固定できます!
ですのでLGSを組むときに、予めその場所(造作を取り付けたい場所)にLGSを組む必要があります。
良くある失敗例が、内装仕上げまでした後にビス止めしようとしたら下地がなく
なくなく壁を壊して下地を入れなおすなんてことが良くあります。
費用もかなり掛かりますので、LGS工事の段階でしっかりと打ち合わせをして進めていきましょう。
LGS工事で良くある失敗例や失敗しないための確認事項は
下記の記事にまとめてあります。
【必須工具も紹介】LGS工事で失敗しないための最終確認事項3つ!
ちなみにLGS用のビスと木工用のビスは使うビスが違うので要注意です!
【ランナー・スタッド】これだけは覚えておこう!LGS工事の基本的な材料2つ
一口にLGS(軽量鉄骨)と言っても種類は様々です。
LGSは総称なので現場ではそれぞれの呼び名で材料を呼びます。
先述したようにLGSは内装現場ではごくごく一般的な基本材料になるので
いざ現場で何のこと?ってならないように壁を作るのに必ず必要な材料2つを紹介します。
【スタッド】プラスターボードを貼るための下地になる材料
上の画像にある縦に長い棒がスタッドです。
スタッドがないとPBは固定できないので壁の基礎となる非常に重要な材料です。
一般的には65㎜のスタッドが使われることが多いです。
65㎜のスタッドを使えば壁の中に電線や配管を隠すことができるからですね。
電気工事の空配管や、給水などの配管も65㎜スタッドを使うことにより、壁の中に隠蔽できます。
スタッドには2種類あります。
- C型スタッド
- 角スタッド
強度は肉厚な分、スタッドの方が強く、主に役所や公共工事などではC型スタッドが使われます。
高い壁を建てるときとかはC型スタッドを使う事をおすすめします。
角スタッドは一般用(民間工事)に良く使われています。
振れ止めを入れる手間がない分、施工スピードが上がります。
店舗内装ではよく角スタッドが使われまねすね。
【ランナー】スタッドを固定するために必要な材料
上の画像にある横に長いコの字の材料がランナーです。
下のランナーはベースの役割となり、上のランナーは蓋のような役割になります。
スタッドを垂直に立てるために必ず必要になります。
ランナーは
- 使うスタッドの太さによって、適したサイズのものがあります
- 角スタッド・スタッドによって、使うランナーに違いはありません
工事名称によって工事内容って変わるの?【ほぼ変わりません】
LGS工事の工事名称っていろいろありますよね。
業者さんからもらう見積りもいろいろな書き方があります。
【代表的な例】
- LGS工事
- 軽鉄工事
- 軽量工事
- 軽天工事
- 内装下地工事
いろいろな呼び方はありますが、どれもほぼ同じ工事内容です。
ほぼ同じと言うのは、しいて言えば
- 軽天工事は天井下地を作る工事
として使われることが多いですかね。
どちらにしても、天井や壁を作るためにPB用の下地を作る工事という事です。
ちなみにLGS+PB工事という場合もあります。
PB工事とはプラスターボードを貼る工事のことです。
ですので
LGS+PB工事はPB貼りまでを施工する工事内容になります。
なぜLGSが使われるのか?木ではダメなのか?その理由を解説
建築基準法の定めにより内装下地は『不燃材』でなければなりません。
店舗や商業施設、劇場、病院など不特定多数の人が集まる場所は
必ず不燃下地を使って施工しなければいけないので「木下地」ではダメなのです。
木は燃えるから。
LGSは「鉄」なので燃えませんね。
ちなみにPBも不燃材です。
木を使って下地を作っていると管轄の消防署から指摘を受けます。
指摘を受けたら、是正して報告しなければなりません。
ものすごいコストが掛かりますね。。
工事中の立ち入り検査や、竣工後の消防検査などもあるのできちんと法令順守しましょう!
また、LGSには燃えない以外にもメリットがあります。
などなど。
LGSのメリット・デメリットは下記の記事で詳しく解説しています。
【LGSとは】何に使うの?規格や種類の違い、メリットやデメリットを徹底解説
【ST・CH・@・t】図面や見積りによく出てくる記号を少しだけ解説
LGS工事の内容は分かりましたね。
でも図面や見積もりで使われている記号が何を意味しているかは
理解できないことが多いのではないでしょうか。
良く分からないまま進めないように、専門用語もしっかりと理解できるようにしましょう。
代表的な項目と意味を紹介します。
LGS組 65ST CH4000
- 床から天井まで4,000㎜の高さの壁を65㎜のスタッドを使ってLGSを組むこと
- 「65」はスタッドの規格寸法
- 「ST」はスタッドのを表す記号
- 「CH」(シーリングハイ)は天高のこと
@303/@405
- LGSを303㎜ピッチ/405㎜ピッチで組むこと
- 「@」はピッチ(間隔)のこと
- ✔@303の場合は『スタッドの芯々で303㎜間隔で等間隔に並べてLGSを組む』こと
PB貼り t12.5
- プラスターボード(PB)12.5㎜厚をLGSに固定すること
- 「PB」はプラスターボード
- 「t」は英語の「thickness」の頭文字で『厚み』のこと
- 「12.5」はプラスターボードの厚み
ちなみに一般的には「貼る」という表現をします。なぜかは分かりません!
現場では「ここにPB貼っといて~」とか言いますね。
その場合は「ここにPBをビス止めするんだ!」と思えば大丈夫です。
【まとめ】LGS工事/軽鉄工事/軽天工事は内装工事の基本です!
LGS工事について解説してきました。
簡単におさらいします。
- LGS工事とはプラスターボードを貼るための下地を作る工事
- 工事名称によって工事内容は変わらない
- LGSを使う理由は燃えないから
店舗や事務所など建物の内装工事をする際には
必ずと言って良いほどLGS工事は出てきます。
先ずは壁と天井を作らないと何も始まらないですからね!
この壁の位置や高さによって、照明や家具、コンセントやスイッチなど
ありとあらゆるものが決まってきます。
内装を作る基準ともなる工程ですので、しっかりと理解を深めていきましょう!
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