【使い分け】C型スタッドと角スタッドの強みを徹底比較【6つの視点】

虫眼鏡で良く見る男

壁下地材のLGSはランナーとスタッドの組み合わせになります。

スタッドには2種類ありますが、それぞれ用途は同じになります。

  • C型スタッド(別名:コ型スタッド)
  • 角スタッド(別名:ロ型スタッド)

用途は同じなのになぜ2種類あるのか不思議ですよね。

こんな疑問を感じたことありませんか?

  • どちらのスタッドを使えばよいの?
  • 使い分ける場面はあるの?
  • それぞれの強みってなに?

私は内装業界に15年いまして、いまは事業部長をしています。

最初の頃は特に気にすることなく業者さんが持ってきたスタッドをそのまま使ってました。

でも実は2種類あるのには理由があるのです。

今回はどんな時にどちらのスタッドを使えば良いかを解説します。

当記事を読んで分かること
  • 角スタッドを使ってはいけない現場がある
  • C型スタッドと角スタッドのそれぞれの強み

工事内容によっては角スタッドを使ってはいけない工事もあります。

それを知らないで進めてしまうと、あとで大損失が出ますね。

また、C型スタッド、角スタッドの特徴を理解しておけば無駄な時間とコストを抑えることができます。

最初に結論を言いますと

  • 公共工事ではC型スタッドを使わないとダメ
  • 角スタッドの方が使い勝手は良い
  • C型スタッドの方はJIS規格品という絶対的な安心感がある
  • 同じ現場での使い分けは出来ない

という事になります。

それでは2種類のスタッドについて、特徴を解説していきましょう!

目次

公共工事ではC型スタッド一択

請負工事が公共工事か民間工事かによって使えるスタッドが決まってきます。

先ずはここをしっかりと押さえておきましょう。

公共工事は公共建築工事標準仕様書に準ずる

公共工事の場合、国交省が定める「公共建築工事標準仕様書」に準じて工事をしなければなりません。

以下、公共建築工事標準仕様書より一部を抜粋しました。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年度版より
公共建築工標準仕様書(建築工事)平成31年度版より

スタッドには「振れ止め」と「スペーサー」を使うように明記されています。

角スタッドには振れ止め、スペーサーは取り付け不可なので公共工事ではC型スタッドを使わなければなりません。

民間工事なら角スタッドを使えるケースが多い

民間工事は公共工事と違って必ず「公共工事建築基準書」に準じて工事をしなければならないというルールはありません。

基本的には設計士さんが書いた設計図書に準じて工事をします。

もちろん設計図書に『公共工事建築基準書に準ずること』と明記があれば角スタッドは使えないという事になります。

設計図書に特別、材料の指定が無ければ角スタッドは使って問題ありません。

商業施設のテナント内装工事などではほぼ指定はないので角スタッドが頻繁に使われます。

「使えるケースが多い」と言うのは民間工事でもゼネコンの仕事は民間工事でもC型スタッドを使うことが多いからです。

その理由はC型スタッドはJIS規格と言う国家規格品だからです。大手建築会社は絶対的な安心感のあるC型スタッドを使います。

JIS規格品については下記記事にて詳しく解説しています!

⇒【軽量鉄骨】JIS規格品と一般普及品の違い、メリット・デメリットとは?どっちを使えばよい?

心配ならC型スタッド(JIS規格品)を使っておけば間違いない

  • 公共工事ではC型スタッド
  • 民間工事では角スタッド

となりますが、とりあえずC型スタッド使っておけば間違いないです。

たまに公共工事でも特記事項として角スタッド指定の時はありますが、ごく稀です。

C型スタッドは国のお墨付きJIS規格品(国家規格品)なので民間工事でC型スタッドを使ったからと言って、何か問題になる事は先ずありません。

悩んだらとりあえずC型スタッドを使っておけば大丈夫です。

【徹底比較】C型と角、6つの視点で比べてみた

どっちも使える現場と言う前提ですがC型スタッドと角スタッド、どちらを使った方がよいのだろう?

そんな時は角スタッドをおすすめします!

それぞれの強みはありますが、早くて安いのは角スタッドの方です。

私も9割は角スタッドを使って工事をしています!

それぞれの強みを比較していきましょう!

【結論】角スタッドの方が使い勝手が良い

C型スタッドを角スタッドを下記のポイントで比較しました。

  • 強度
  • 施工スピード
  • コスト
  • 規格の多さ
  • 電気工事
  • 大工工事

結果は下記のとおりです。

C型スタッド角スタッド理由
強度勝ち負け肉厚が違う。でも角スタッドが強度不足と言うわけではない
施工スピード負け勝ち施工手順が違う。C型は2工程多い
コスト負け勝ち使う部材が多い分、C型の方がコスト高
サイズの多さ負け勝ち角スタッドの方がサイズが豊富
電気工事のやりやすさ負け勝ちC型の方が隠蔽配線がしやすい
大工工事のやりやすさ勝ち負けC型の方が枠の取り付けが簡単

早い、安いというのは圧倒的メリットです。

角スタッドの方が工程が短縮できるため人件費も抑えられ、材料費だけでなく工賃も安くなりますね。

それぞれ詳しく解説します!

【強度】C型スタッド>角スタッド

強度はC型スタッドの方が強いです。

一般普及品の角スタッドとJIS規格のC型スタットの肉厚を比較してみましょう。

  • 角スタッド・・0.5㎜厚
  • C型スタッド・・0.8㎜厚

C型スタッドの方が肉厚が0.3㎜厚いです。

更にC型スタッドには「振れ止め」という補助部材があり、この部材で揺れにも強くなります。

念のため補足ですが角スタッドが強度不足と言うわけではありません。

角スタッドは肉薄ですが強度を補うためにロの字型をしています。

【スピード】C型スタッド<角スタッド

施工スピードは角スタッドの方が早いです。

C型スタッドは角スタッドに比べて工程が2手間増えます。

ざっくり言うと

角スタッドの場合

  1. ランナーを止める
  2. 角スタッドを止める

C型スタッドの場合

  1. ランナーを止める
  2. C型スタッドにスペーサーを取り付ける
  3. C型スタッドを止める
  4. C型スタッドに振れ止めを取り付ける

このようにC型スタッドは補助部材の「振れ止め」と振れ止めを取り付けるための部材「スペーサー」を仕込む必要があります。

角スタッドはランナーとスタッドがあれば完結するので施工スピードはとても速いです。

【コスト】C型スタッド<角スタッド

材料コストは角スタッドの方が安いです。

実際に下記の条件で、必要な材料にかかるコストを表にまとめました。

工事条件
  • W5,000㎜×H3,000のふかし壁を作る
  • スタッドは65㎜×45㎜を使用
  • スタッド長さは3,000㎜を使用
  • ランナー長さは4,000㎜を使用
  • スタッドのピッチは303㎜ピッチ

今回は国内最大級の建材サイト【アウンワークス】 より最安値検索でヒットした建材で比べてみます。

C型スタッドと角スタッドの材料費比較表

  角スタッド(一般品) C型スタッド(JIS規格) C型スタッド(一般品)
建材 単価 数量 単価 数量 単価 数量
スタッド 600 18 10,800 1,080 18 19,440 550 18 9,900
ランナー 540 3 1,620 790 3 2,370 540 3 1,620
振れ止め 0 0 330 3 990 280 3 840
スペーサー 0 0 15 108 1,620 15 108 1,620
  合計 12,420 合計 24,420 合計 13,980

このように角スタッドはC型スタッドに比べて材料費が安くなります。

一般品のC型スタッドと比べても角スタッドの方が安いという結果になりました。

更に言うと手間が2工程増えるC型スタッドは施工費も高くなります。

【細かい収まり】C型スタッド<角スタッド

細かい収まりは角スタッドの方が得意です。

理由は角スタッドはC型スタッドに比べてサイズが豊富にあるから。

なので角スタッドは細かい収まりの部分に使われることが多くなります。

一般的に出回っているサイズを表にまとめました。

 

サイズ C型スタッド 角スタッド サイズ C型スタッド 角スタッド
40㎜×20㎜ 45㎜×65㎜
40㎜×25㎜ 45㎜×75㎜
40㎜×45㎜ 45㎜×90㎜
40㎜×50㎜ 45㎜×100㎜

 

角スタッドは50㎜以下の細いスタッドも規格としてあります。

スペースや収まりの都合で薄い壁を作らなければならないときはC型スタッドでは不可になるので角スタッドが使われます。

【隠蔽配線】C型スタッド<角スタッド

隠蔽配線は角スタッドの方がやりやすいです。

※隠蔽配線とは壁の中に隠れている配線のこと

壁のコンセントの配線をするときは天井から配線を下げてきます。

こんな感じですね。

C型スタッドの場合、振れ止めが横に走っているので配線を下げるときに邪魔になってしまいます。

角スタッドは障害がないので配線がしやすいです。

電気屋さんは喜びますね!

【枠取付】C型スタッド>角スタッド

スタッドに枠を取り付けるのはC型スタッドの方が楽です。

枠を取り付けるときはスタッドの側面からビス止めします。

こんな感じですね。

角スタッドに枠を取り付ける場合は

ビスを打ち込めるようにスタッドの側面に穴をあけなければなりません。

下記の画像もスタッドに穴が開いています。

この作業がなかなか面倒です。

C型の場合はスタッドの形状が『コの字』なので穴を開ける必要がありません。

直接ビス止めすることができます。

場面によって使い分る必要はない!

C型スタッドと角スタッド、それぞれの強みを紹介しました。

ではそれぞれの強みを活かせるように、場面で使い分けたほうが良いのか?

そんな疑問が浮かぶと思います。結論から言いますと

場面によってるかい分ける必要はない

理由を解説します。

関わる人の手間が増えて面倒

身も蓋もありませんが何より面倒ですね。

誰が面倒かと言うと設計さん、現場監督、職人さん。

工事に関わる全ての人が面倒になります。

使い分けることにより指示がかなり細かくなり、管理する方も実行する方もとても手間がかかります。

手間のわりに効果がない

使い分けるという事は設計、監督、職人の時間を余計に使います。

その時間に対する効果はそれほど得られません。

確かに強度の方はC型スタッドの方が強いですが、決して角スタッドが強度不足と言うわけではありません。

枠取付の時に角スタッドはひと手間増えますが使い分ける手間に比べたら大したことありません。

逆に使い分けることにより、現場が混乱する可能性の方が高いです。

そもそも使い分けられない

そもそも使う部材が違うので使い分けは難しいです。

壁1面ごとに使い分けなら可能かもしれませんがポイントで使い分けはできません。

角スタッドを使っていて、途中にC型スタッドを使おうとしても角スタッドには振れ止めは取付できません。

その逆も同じです。

【結論】民間工事なら角スタッドを使えばよい

指定がない限り、角スタッドで十分です。

先述した通り、使い分けをしようとすると手間がかかります。

でも手間のわりに使い分け効果はそこまでありません。

それなら安くて早い角スタッドを使っておけば間違いないです。

どうしても心配、図面が曖昧で悩むようならC型スタッドを使っておきましょう。

【まとめ】C型スタッドは公共工事、角スタッドは民間工事

使い分けるとしたら

  • C型スタッドは公共工事
  • 角スタッドは民間工事

と覚えておけば大丈夫です。

同じ工事のなかで場面によて使い分ける必要はありません。

民間工事では特に指定が無ければ角スタッドの方が良いです。

規格も多いのでいろいろな壁厚にも対応可能です。

C型スタッド、角型スタッド、それぞれの強みはありますが使い分けていたら現場が混乱してしまいます。

民間工事では安くて早い角スタッドを使いましょう!

共工事では角スタッドの選択肢はないので、C型スタッド一択ですね!

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この記事を書いた人

ブログ運営者のふくさらです。

時間にも場所にもお金にも多少のゆとりができたので、趣味でDIYを開始。
趣味で始めたDIYにどっぷりはまり物置を作業場にリフォーム。

本業はディスプレイ・内装業界。
15年の業界経験を活かし、暮らしの中のちょっとしたものをDIYで作って楽しんでいます。
最近ではオーダーを頂くことも増えました!

この『ゆとりDIY』では【初心者でもそこそこのものを作れるるようになる】をコンセプトに、必要工具の紹介、DIYレシピやノウハウを発信しています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 勉強になります。
    一つおききしたいことがあります。
    新品の片開きドアのつりもと、丁番の付いてる縦枠の側にたてる、スタッドの中に当て木用のさん木を入れたほうがいいですか。
    いれないで、三方枠をスタッドにビス止めしたら、後々問題はでませんか。
    おしえてください。
    よろしく、おねがいします。

    • コメントありがとうございます!
      扉の重さや大きさや重さにもよりますが、木製のフラッシュ扉程度でしたらそのままスタッドに枠をビス止めしても大丈夫だと思いますよ。
      扉が重かったり、高さがある場合は木下地を入れたほうが良いかもしれませんね。

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