不燃・準不燃・難燃
一度は聞いたことありますよね。でもこれ、具体的に何が違うのかよく分からなくないですか?
私も最初は漠然と「燃えにくい材料」程度にしか思っていませんでした。
実は『不燃・準不燃・難燃』は、建築基準法と言う法律で明確に定義されており、それぞれ内容が変わってきます。
知らずに材料を選んでしまうとあとで問題になるので、ここで完璧に理解しましょう!
この記事では内装制限で必ず出てくる『不燃・準不燃・難燃』の違いについて解説していきます。
また、似たような言葉で『防炎』と言うのがありますが、防炎との違いにも触れています。
- イベント、内装業界に携わり15年
- 営業、提案、発注、現場と業界の裏側を一通り経験
- 時間と場所とお金のゆとりをDIYに全力投球
- 業界経験を活かした空間創り、物つくりを実践中
- 不燃・準不燃・難燃の明確な違いについて
- それぞれの具体的な建材について
- 防炎との違いについて
内装工事では良く出てくるワードばかりなので、これを知っている、知っていないでは信頼度も変わってきます。
特に設計者さんは必須知識になります!
施工者、監理者も知っていれば事前にミスは防げるのでしっかりと理解しておきましょう!
- 内装制限による工事のやり直しがなくなる
- 提案に説得力が増す
- 消防検査にビビらなくて済む
では行きましょう!
不燃・準不燃・難燃の違いとは?
不燃・準不燃・難燃の違いとは何か?
先ずは定義について解説していきます。
できるだけわかりやすい言葉に置き換えて進めていきますね。
不燃・準不燃・難燃の定義
不燃材・準不燃材・難燃材は建築基準法で言う『防火材料』のうちの一つです。
『防火材料』とは国土交通大臣が認定にする建築基準法の「防火認定」が適用された材料のこと
防火認定が適用されるには3つの要件を満たすことが条件になっています。
- 燃焼しないこと
- 防炎上、有害な変形、溶融(※)、き裂その他の損傷を生じないこと
- ※溶融・・物が熱を受けて液体になること
- 避難上、有害な煙またはガスを発生しないこと
この3つの要件を満たす材料に防火認定が適用され『防火材料』と認定されます。
防火材料は更に3つに分類されます。
- 不燃
- 準不燃
- 難燃
ここでこのワードが出てきましたね!
では分類の中身を見ていきましょう!
不燃・準不燃・難燃の違いとは?
不燃・準不燃・難燃の違いは『時間』の違いです。
どのような時間かと言うと防火認定条件を満たさなくなるまでの「加熱時間の長さ」によって分類される
- 不燃材:加熱開始後20分
- 準不燃材:加熱開始後10分
- 難燃材:加熱開始後5分
言い換えると不燃材は加熱開始後20分間は上記3つの要件を満たすことができる材料という事になります。
グレードは難燃材<準不燃材<不燃材の順に防火性が高くなるんですね!
防火材料の使用は義務?
建築基準法によって防火材料の使用が義務付けられる場所があります。
- 防火認定の屋外基準
- 屋外の看板
- 屋外の広告塔
- 屋外の装飾など
防火地域内にあるものに限られますが、例えば駅前や幹線道路沿いなどが該当します。
- 防火認定の屋内基準
- 特殊建築物(商業施設、映画館、飲食店、共同住宅など多岐にわたる)
- 建築物の延べ床面積による
- 無窓の居室(建築基準法上の基準を満たす窓がない部屋)
- 火を使う器具、設備を有する部屋(キッチン、浴室など)
不特定多数の人が出入りする建物の内装(壁・天井・柱・扉など)は防火材料としなければなりません。
これは『内装制限』とも言い、戸建住宅から特殊建築物まで幅広く適用されます。
『内装制限』はよく出てくる建築基準法の一つなので覚えておいた方が良いでしょう!
内装制限について詳しく知りたい方は下記記事を参考に!
⇒【建築基準法】内装制限とは?人が集まる大きい建物は要注意です!【一覧表あり】
それぞれの具体的な建材を紹介
不燃・準不燃・難燃の違いを解説してきました。
では具体的にはどのような材料があるのでしょうか。
認定が取れている材料にはそれぞれ【認定番号】と言うものが割り振られます。
認定番号とともに建築基準法の内容に沿って紹介して行きます。
不燃材には何がある?
不燃材料:認定番号【NM-〇〇〇〇】、【NE-〇〇〇〇】
- 〇には4桁の数字が入る
- NMで始まるものは一般材
- NEで始まるものは外装仕上げ材
- 加熱開始後20分間は要件を満たす
- コンクリート
- れんが
- 瓦
- 陶磁器タイル
- 繊維強化セメント板
- スレートボード
- フレキシブルボードなど
- ガラス繊維混合セメント板(厚さ3㎜以上)
- GRCパネル
- セメント系材料にガラス繊維を混入したもの
- 繊維混入ケイ酸カルシウム板(厚さ5㎜以上)
- 繊維強化セメント板の一種
- ケイカル板など
- 鉄鋼
- アルミニウム
- 金属板
- ガラス
- モルタル
- 漆喰
- 石
- 石膏ボード(厚さ12㎜以上、ボード用原紙の厚さが0.6㎜以下)
- 別名プラスターボード(PB)
- ロックウール
- 原材料が鉱物の断熱材
- グラスウール板
- 原材料がガラスの断熱材
準不燃材には何がある?
準不燃材料:認定番号【QM-〇〇〇〇】、【QE-〇〇〇〇】
- 〇には4桁の数字が入る
- QMから始まるものは一般材
- QEから始まるものは外装仕上げ材
- 加熱開始後10分間は要件を満たす
- 石膏ボード(厚さ9㎜以上、ボード用原紙厚さ0.6㎜以下)
- 別名プラスターボード(PB)
- 木毛セメント板(厚さ15㎜以上)
- 木材をセメントペーストで圧縮成型したもの
- 硬質木片セメント板(厚さ9㎜以上、かさ比重0.9以上)
- 木片セメント板(厚さ30㎜以上、かさ比重0.5以上)
- パルプセメント板(厚さ6㎜以上)
- セメントと繊維(パルプ)などを混合し成型したもの
※木質セメント板とはリボン状に細長く削りだした木材をセメントペーストで圧縮成型した建材
画像出典:株式会社栄進工業
画像出典:株式会社LOOPLACE
難燃材には何がある?
難燃材:認定番号【RM-〇〇〇〇】、【RE-〇〇〇〇】
- 〇には4桁の数字が入る
- RMから始まるものは一般材
- REから始まるものは外装仕上げ材
- 加熱開始後5分間は要件を満たす
- 難燃合板(厚さ5.5㎜以上)
- 難燃性を持たせるために薬剤処理した内装用の合板
- 石膏ボード(厚さ7㎜以上、ボード用原紙の厚さ0.5㎜以下)
- 別名プラスターボード(PB)
防炎は消防法によって定められている
似たような言葉で『防炎』というものがありますよね。
防炎について少しだけ解説。
防炎とは
- 燃えにくい性質を示すもの
- 燃えても自己消化性によって燃え広がらない
- 管轄は総務省消防庁
防炎処理を義務付けられた物品のことを【防火対象物】と呼びます。
主な防火対象物には下記があります。
- カーテン
- 布製ブラインド
- 暗幕
- じゅうたん
- カーペットなど
防炎は建築基準法ではなく、消防庁管轄の消防法にて定められています。
ですので内装工事においては建築基準法と消防法をおさえておく必要があり。
竣工後には消防検査と言って消防署の立ち入り検査があるので、防火対象物には要注意しておきましょう!
不燃・準不燃・難燃の認定、防炎認定を受けている証拠としてラベルが発行されます。
消防検査前に必ずこのラベルを対象物に貼り付けておきましょう!
こんな感じに貼っておきます!
カーテンは最初から縫い付けておいてもらいましょう!
壁に貼るラベルは目立たない隅のほうに!
【まとめ】不燃・準不燃・難燃の違いは『3つの要件』を満たす時間の長さ!
不燃・準不燃・難燃は防火材料を分類したものでした。
防火材料とは
- 建築基準法の「防火認定」が適用された材料のこと
防火認定を満たす3つの要件とは
- 燃焼しないこと
- 防炎上、有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないこと
- 避難上、有害な煙またはガスを発生しないこと
この3つの要件を満たす時間の長さによって不燃・準不燃・難燃に分類分けされます。
分類 | 加熱開始後の要件を満たす時間 | 認定番号 | 建材 | |
一般材 | 外装仕上げ材 | |||
不燃 | 20分 | NM-〇〇〇〇 | NE-〇〇〇〇 |
|
準不燃 | 10分 | QM-〇〇〇〇 | QE-〇〇〇〇 |
|
難燃 | 5分 | RM-〇〇〇〇 | RE-〇〇〇〇 |
|
※〇には4桁の数字が入る |
建築基準法によって防火材料の使用が義務付けられる場所があります。
建築基準法によって防火材料の使用が義務付けられる場所があり、屋内基準では【内装制限】というものがあります。
【内装制限】は 内装工事とは密接に関わってくるので防火材とセットで覚えておいた方が良いでしょう!
内装制限について詳しく知りたい方は下記記事を参考に!
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